ビタミンDはどんなビタミン?  ~日光とビタミンDの関係性~

三番町ごきげんクリニック

院長 澤登 雅一 先生

注目のビタミンD

紫外線が強い季節になり、対策をはじめられた方も多いと思います。

紫外線はお肌の敵と思われがちですが実は我々の健康維持に欠かせないビタミンDと深いかかわりがあります。

日々アンチエイジング医療を実践されライフワークであるがんの治療にも力を注いでいらっしゃる三番町ごきげんクリニック院長・澤登雅一先生から紫外線、ビタミンDとの上手な使い方について伺ってきました。

 

紫外線を浴びることでどのような効果が得られるのでしょうか

紫外線というとシミ・シワの原因になり、場合によっては皮膚がんを引き起こすことから「紫外線=体に悪い」というイメージがついてしまっています。

もちろん過度の紫外線は良くありませんが、日に当たることによって、様々な健康効果が得られることもわかっています。

 

日光とビタミンDにはどんな関係がありますか?

ビタミンDは我々の体の中でも作られています。皮膚が紫外線を浴びることで、皮膚にあるプロビタミンD3(前駆体)という物質が、体内でビタミンDに変わり、肝臓に蓄えられます。

現代人は紫外線対策をしっかりとしており、ビタミンD生成に十分な紫外線を浴びていないことが多く、ビタミンD不足を加速させている要因になっています。

サプリメントのビタミンDは不活性型、医薬品のビタミンDは活性型という違いがあります。

ビタミンDはカルシウムやリンなどのミネラルの代謝や恒常製の維持、骨の代謝に関係しており、不足すると小児ではくる病、成人では軟骨化症などが起こることが知られています。

 

ビタミンDの働きに何か特徴はありますか?

ビタミンDはビタミンの中でも特別な存在です。

ほかのビタミンの場合、酵素の働きを助ける補酵素として働くことが多いのですが、ビタミンDは一種のホルモンとして働き、体内のカルシウム濃度の調整、免疫システムの調整などを行っています。

以前からビタミンDは骨粗しょう症対策の医薬品として使われていますが、最近の研究では骨粗しょう症以外にも、免疫システムの活性化、がんに関わる論文、運動能力に関わる論文が数多く報告されるようになり、今一番注目を集めているビタミンです。

 

ビタミンDを多く含む食品は?

ビタミンDは、穀物やお野菜、豆類、イモ類にはほとんど含まれていません。
多く含まれているのは、魚類やきのこ類です。

特にきのこ類ではきくらげやシイタケ、魚類ではちりめんじゃこやアン肝などがビタミンDを多く含みます。


とくに魚はカルシウムも多いので、骨の健康のために、おすすめの食品です。

 

日本人の多くはビタミンD不足!

中高年女性500人を対象とした調査で、半数以上が『ビタミンD』不足状態にあることが明らかになっています。

血中ビタミンD(25(OH)D)濃度が低い状態が続くと、人が本来持つ様々免疫システムや骨代謝もうまくいかず、健康維持が難しくなっていきます。

血中ビタミンD濃度が10ng/ml未満の人は『ビタミンD欠乏症』、20ng/mlの人は『ビタミンD不足状態』とされています。

『ビタミンD欠乏症』は全体の2.2%でしたが、『ビタミンD不足状態』の人は全体の55%にも達し、約半数の日本人がビタミンD不足にあると推測されます。

昨今、感染症の影響もあり、外出自粛が続いておりますが、様々なイベントや外での活動が著しく減少し、日光にあたる機会も減少しておりますので、より『ビタミンD不足状態』の方が増えることが考えられます。しっかりと食事やサプリメントでビタミンDを補う必要があります。

(本記事はAge Management Press 24号より抜粋)

Profesional voice


澤登雅一/さわのぼり・まさかず

医学博士。1967年、東京都出身。1992年、東京慈恵会医科大学卒業後、血液内科医として、日本赤十字社医療センターにて14年間勤務し、主に白血病やリンパ腫などの血液がんの臨床に従事。2005年より三番町ごきげんクリニック院長。病気を見る立場から、病気にならないことの重要性を痛感しアンチエイジング医療を実践するとともに、ライフワークであるがんの治療に力を注いでいる。

東海大学医学部血液腫瘍内科非常勤講師
東京医科歯科大学大学院生命理工学系専攻  疾患予防科学コース・非常勤講師
日本内科学会総合内科専門医
日本血液学会専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本抗加齢医学会評議員・専門医
米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医
エピジェネティック療法研究会 代表幹事
特定非営利活動法人 日本コーチ協会認定メディカルコーチ
日本医師会認定産業医

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