あまり知られていない亜鉛の重要性

亜鉛とは?

主に骨や皮膚、骨格筋や脳、肝臓、腎臓などに存在する必須ミネラル
細胞分裂を正常に保ち、たんぱく質の合成にも使われる

亜鉛は身体のさまざまな部分で使われるミネラルです。新陳代謝やエネルギー産生、免疫反応などヒトが生命活動を行う上で欠かすことのできない成分として広く使われています。成人の体内には約2,000㎎の亜鉛が含まれており、さまざまな酵素の構成要素にもなる重要成分です。

日本では古くから味覚障害には亜鉛という認識があり、医師や薬剤師から紹介される成分でもあります。しかし近年、欧米では亜鉛といえば免疫という認識が広がっており、亜鉛の活用は国によって差が出てきています。

食品では牡蠣やウナギに多く含まれる

食品では牡蠣やはまぐりなどの貝類やウナギなど、日本では古くから精が付くと言われるような食品に多く含まれています。

亜鉛は非常に重要な成分である一方で、非常に摂りづらい成分でもあります。体内の吸収率は悪く、食品からの吸収率は30%程度といわれています。吸収率を上げる為にビタミンCやクエン酸を含む食品と併せて摂ることで吸収効率を上げることをおすすめします。

食事から摂りづらい亜鉛ですが、普段私たちが何気なく口にしている食品により吸収が阻害されてしまったり、過剰に体外に排出してしまうケースがあります。それは、ファストフードやコンビニ弁当などが挙げられます。
インスタントラーメンなどの加工食品にはリン酸塩、ポリリン酸、フィチン酸、グルタミン酸ナトリウムが使われ、これらの成分は亜鉛の吸収を阻害します。その為、普段からファストフードやコンビニ弁当ばかり食べていると、次第に亜鉛が不足状態になります。

亜鉛が不足すると

亜鉛が不足状態になると、タンパク質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長障害になります。様々な細胞が作られにくくなるため、味を感じる味蕾細胞の産生が滞れば、味覚障害になる可能性もあります。その他、免疫力低下や生殖機能の低下、皮膚炎、貧血、食欲不振、脱毛、神経感覚障害などさまざまな弊害がおこります。普段あまり意識しない栄養素だからこそ、食事やサプリメントなどで補っていただきたい栄養素です。

また、亜鉛の過剰摂取については、通常の生活で過剰になる可能性は低いですが、亜鉛の過剰摂取は銅欠乏、貧血、胃の不調など様々な健康被害が生じることが知られているため、耐容上限量は18~29歳の男性で40㎎、30~69歳の男性で45㎎、70歳以上の男性で40㎎、18歳以上の女性で35㎎と設定されています(参考:公益財団法人長寿科学振興財団より)

アンチエイジングのミネラル

アンチエイジング領域において、亜鉛はキレーションやSOD活性などで語られることが多い物質です。
亜鉛は体内に蓄積してしまった有害ミネラルを体外に排出するための拮抗ミネラルとして優秀な働きをします。(※詳細はこちらの記事をご参照ください)
キレーションなど、体内にたまった有害ミネラルを強制的に排出させる場合には、そのフォローアップとして亜鉛を使用することが多いです。

また、体内の抗酸化酵素(SOD酵素)は亜鉛や銅、マンガンなどを補酵素として働きます。身体を活性酸素から守るために亜鉛は重要な栄養素といえます。

亜鉛と銅の関係

亜鉛は同じミネラルである銅と深いつながりがあります。
亜鉛、銅は同じ吸収経路をたどり、拮抗(互いに効果を打ち消しあうようにはたらく事)する性質があります。
つまり、血液中に亜鉛が多くある環境では、銅の吸収が抑制され、銅が多くある環境では亜鉛の吸収が抑制されます。
アンチエイジングクリニックなどでは、亜鉛、銅の摂取比率は10:1が好ましいと言われています。

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